ボトキラーは本当に殺し屋?
抵抗性と耐性について
ボトキラーという名前を採用するときに若干迷ったものです。
キラーというかなり手垢のついた言葉とその生命に対する否定的な語感はあるものの直截的で分かりやすいだろうというよくある悪くいえばイージーな決断、よく言えば売りたいという気持ちが先行していたように思えます。
しかし結果的には頭にすっと入りやすいネーミングでかなりの生産者や販売員の方々の間ではよくしられるようになったようです。
釈迦に説法かもしれませんが、ボトキラーのおもな作用は殺菌ではありません。
20世紀に人類は糸状菌や放線菌から抗生物質を発見し主に細菌による感染症を制御することに一時的に成功しました。
ペニシリン、ストレプトマイシン、カスガマイシン、セファロスポリン、バンコマイシンなどがそれにあたります。
ただ問題がすぐに生じてきました。
それが抵抗性、耐性の問題です。
切れ味のいいナイフは当然のこと刃は薄く鋭くなければよくはきれません。
いくら高品質の鋼を使っても物理的に鋭利であれば、使用することにより刃が徐々になまくらになることは避けることはできません。
実際抗生物質がつぎつぎと開発されてきた理由はこの耐性菌問題だったといえます。
最近よく耳にする院内感染はメチシリン耐性ブドウ状球菌(MRS)のことでメチシリンはペニシリンを化学修飾して耐性を回避してきた剤ですが、それが効かないという問題でした。
そしてバンコマイシンというそれまで違う分野で使われていた抗生物質がアメリカのリリー社からかなり前から(1980年代)使われていたのですが、この分野での使用がすくなかったためMRSにも効果がみられたのです。
しかしバンコマイシンの寿命も短かったのです。
ひとことでいえば使いすぎであるともいえますが、これは「殺」菌剤の宿命なのです。
ここまでお話すればボトキラーの本質が見えて来るとおもいます。
ボトキラーは本質的に殺し屋ではありません。
簡単な言葉でいえば保護剤なのです。
その保護の方法はといえば「競争」「拮抗」という生物学者が喜ぶような言葉使いで説明できるはずです。
ボトキラーについて僕らがもっとも簡単に安心して勧められるのはやはりこの菌が納豆菌と同じであるということです。
納豆菌と同じ仲間というのならよくいう言い方ですが、ボトキラーの場合、同じ種なのです。
ですから味がいいかは別としてボトキラーを蒸した大豆にふりかければ納豆ができることは確かです。
ということは納豆菌を植物にかけても灰色かび病になりにくくなるのでしょうか。
たぶんそうです。
ただそれについてはいまのところデータがないので納豆会社がこの分野に進出したくなるほど
ボトキラーが売れるようになってからのお楽しみでしょう。 (和田 哲夫)
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