[バイオ農薬] 軟腐病防除剤
バイオキ−パ−水和剤について

伴 資英・岩渕 哲哉

- トーメン農薬ガイドNo.94/E (2000.1.1) -

 


 


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はじめに

 バイオキーパー水和剤は、非病原性軟腐病菌(エルビニア・カロトボーラ)を有効成分とするまったく新しいタイプの軟腐病防除剤です。現在、ハクサイ、ダイコン、バレイショ、キャベツ、タマネギの軟腐病に対し登録があります。また、レタス、ネギに対して適用の拡大を予定しています。

 なお、上記の軟腐病以外に、ブロッコリー、カブ、キュウリ、セロリ、チンゲンサイ、パセリ、タ−サイ、ズッキ−ニ、ラン、シクラメン等の軟腐病に対しての効果も現在試験中です。


▲ハクサイ畑(左)とハクサイ軟腐病(右)

バイオキーパー水和剤の開発の経過

 1987年(昭62)からバイオキーパー水和剤の基礎研究を開始しました。その結果、一部の非病原性軟腐病菌が軟腐病を防除することができることを発見し、当剤の開発に到りました。。一般に細菌の中には自身の類縁の細菌に対して、抗菌活性を持つ蛋白質であるバクテリオシンを分泌生産するものが比較的多く存在します。代表的な植物細菌病である軟腐病菌もその一つで、これを利用して微生物農薬を開発できないかとの発想が、本剤開発の発端です。

 軟腐病菌の多くの菌株がそれぞれの中で多くの菌株に対して抗菌活性を持ち、なおかつ、多くの菌株の産生するバクテリオシンに対して耐性のある菌株を選抜しました。これらの菌株を非病原性にして、病気の抑制程度を検定しました。続いて、当社研究所および東北大学遺伝生態研究センター、宮城県農業短期大学、(社)日本植物防疫協会研究所等でポット試験および圃場試験を実施し、防除効果の高い菌株を選別し、本剤の有効成分となる菌株を得ることができました。ちなみに、この菌株は、群馬県のハクサイ畑での軟腐病罹病ハクサイから分離したものです。さらに、製剤製法について検討を重ね、水和剤を採用し、微生物農薬バイオキーパー水和剤として完成に到りました。

 一方、効果のメカニズムについては、研究が進むにつれて、防除効果の主な要因はハクサイ葉上にバイオキーパー菌が定着し、場所および植物からの栄養物を独占することにより軟腐病菌の菌密度を低く抑え、発病を抑止することにあり、むしろ副次的な効果としてバクテリオシンの抗菌活性があると考えるに到りました。

 以下にバイオキーパー水和剤の効果の要因、特長、使用法について述べます。

バイオキ−パ−水和剤の効果の要因

 ア)軟腐病菌は、植物の傷口から植物内に入り、そこから植物の栄養を食べて増えますが、バイオキーパー水和剤を散布しておけば、軟腐病菌より早くその栄養をバイオキーパー菌が食べるため、軟腐病を防ぐことができます(葉面上での競合効果)

 イ)多くの細菌はバクテリオシンと呼ばれる蛋白質の抗菌物質を生産しますが、バイオキ−パ−菌も同様に蛋白質の抗菌物質を生産します。バイオキーパー菌の場合、この抗菌物質の他の軟腐病菌に対する抗菌効果が幅広いため、軟腐病の発生を抑えることができます(抗菌作用)

バイオキ−パ−水和剤の特長

  1. 生きた微生物を有効成分とする、全く新しいタイプの微生物軟腐病防除剤です。
  2. 従来の殺菌剤と同等の高い防除効果です。
  3. 減農薬経営、有機栽培、無農薬栽培に適合し、環境に対する負荷が小さい防除剤です。
  4. 農薬散布回数にカウントされません。
  5. 微生物が有効成分 であるため、作物上での定着性に優れており、散布後の降雨により流れ落ちる心配がありません。
  6. 殺菌性のある一部の殺菌剤、乳剤タイプの殺虫剤・展着剤との混用はできません。しかし3日以上の間隔をあけることにより使用することができます。
  7. 化学農薬との交互散布は、3日間以上の間をあければ可能です。このことから、化学農薬と組み合わせた体系防除ができます。

バイオキ−パ−水和剤の安全性

 バイオキ−パ−水和剤の人畜毒性は普通物、魚毒性はA類相当で、魚介類や昆虫、植物等への影響は認められません。つまり、環境に優しい環境保全型の農薬といえます。バイオキ−パ−水和剤の適用と使用法は第1表のとおりです。

適用作物 適用病害 希釈倍率 10aあたりの散布薬量 使用時期 本剤の総使用回数 使用方法
ハクサイ
バレイショ
ダイコン
軟腐病 500〜2,000倍
1,000〜2,000倍
1,000倍
150〜300
リットル
発病前〜
発病初期
(収穫直前迄)
5回以内 散布
キャベツ
タマネギ
軟腐病 1,000倍
1,000倍
レタス
ネギ
軟腐病 1,000〜2,000倍
1,000〜2,000倍
適用拡大
開発中
     

第1表 適用範囲及び使用方法

バイオキ−パ−水和剤の上手な使い方

  1. 各作物との発病前から予防散布が効果的です。
  2. 特に降雨・強風が予想される場合、その直前・直後の散布で高い効果が発揮されます。
  3. 他の軟腐病防除剤との交互散布で効果が安定します。その場合は3日以上あけて散布して下さい。
  4. 軟腐病菌に効果のある殺菌剤、乳剤および特定の展着剤との混用はできません。(第2表)。


第2表 他剤との混用可否表

バイオキ−パ−水和剤の施用上の注意事項

 バイオキーパー水和剤の施用にあたっては以下の点に注意して下さい。

  1. 本剤は真空包装しておりますので、開封時に内容物が固化している場合がありますが、品質には全く影響がありません。固化しているときには手で軽く揉んでから少量ずつかき混ぜながら水に溶かして下さい。
  2. 有効成分は生菌であるため、開封後は全て使いきって下さい。
  3. 本剤散布後、長期間日照りが続く場合は、効果が劣る場合がありますので、再度散布することをお奨めします。
  4. 使用時期が遅れると効果が劣るので、軟腐病発病前に使用して下さい。
  5. 本剤の使用にあたっては使用量・使用時期・使用方法を誤らないように注意し、特に初めて使用する場合には病害虫防除所等の関係機関の指導を受けて下さい。

 また、保管にあたっては、次の点を守って下さい。

  1. 本剤は5℃以下では4年間の保存可能ですが、25℃では有効期限が3ケ月になります。直射日光を避け、なるべく冷温所に保存して下さい。また、夏場に1ケ月以上使用しない場合は冷蔵庫等(1℃以下が望ましい)で食品と区別して保管して下さい。
  2. 常温で保管する場合は、お手元に届いてから3ケ月以内に使用して下さい。

(セントラル硝子(株))

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